ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの『フィールドの面白さ』を徹底的に分析・考察

フィールドの面白さを徹底的に分析・考察

今回はタイトルにある通り、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの『フィールドの面白さ』。これを徹底的に分析・考察していきます。
ぼく自身、元ゲームクリエイターなので多少は面白く語れるかと思います。(面白くなかったらごめんなさい)


基本的には以下のパートに分けて解説していこうと思っているので好きな部分を読んでいただければいいかなと。

・なぜ高所に登らせるのか?
・フィールド移動を苦にさせないご褒美の数々
・「始まりの台地」にはすべてが詰まっている
・フィールド三角形の法則
・おまけ:フィールド開発の手法を妄想する

ゼルダの伝説BotWのプレイ経験があると内容が理解しやすいです。しかしまだプレイしたことがない人でも「こんなことができるゲームなんだぁ」ということがわかると思います。

【ゼルダの伝説ブレスオブザワイド】徹底的に『フィールドの面白さ』を分析・考察
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なぜ高所に登らせるのか?

シーカータワー

ゼルダの伝説BotWを始めると10分もしない内に、めちゃくちゃ高い「シーカータワー」という塔に登ることになります。しかも初めは自動的(強制的)に塔の頂上に到達します。

これは何を意味しているのでしょうか。

僕は以下の4つの目的があると分析してみました。

・高所に登る快感・恐怖
・世界の広さを確認
・目標設定
・地図を手に入れる(シーカータワーの場合)

では1つずつ見ていきましょう。

高所に登る快感・恐怖

ひやり

高所(シーカータワーや山)の役割として、登ることで得られる快感と恐怖をプレイヤーに刷り込ませる役割があると考えます。

頂上に登ると目の前には、広大な世界が広がっているのです。
そしてこの景色を独り占めしているという快感、どこにでも行くことができるんだという期待感を味わうことができます。さらにはここから落ちたらヤバそうだ・・・という恐怖

これらすべての感覚を、最初に登る「シーカータワー」で無意識のうちに味わわされているわけですね。人間は感情が動くと(特に恐怖)、そのことに集中する生き物であるため、ここでプレイヤーはゲーム内にひきこまれます。この辺りのゲーム設計は感服するばかりです。

世界の広さを確認

世界の広さを確認

高所にはゼルダの伝説BotWの世界がどれだけ広いのかを確認させる役割があります。特にプレイ開始直後はゲーム内のマップがすっからかんなので重要な役割です。

つまり「マップがないなら、高いところに登ればいいんだ」とプレイヤーに理解させるということです。

目標設定

目標設定

恐らくこの目標設定が、高所に登らせる理由の大部分を占めていると思います。先ほどから何度も書いていますが、高所に登ることで世界を遠くまで見渡すことができます。そうなれば必然的に「巨大な建造物」「不思議な形をした山」「怪しげな森」「広大に広がる湖」「海にポツンと浮かぶ島」等、色々な物が目に入ってきます。

気になる場所を見つけたら、そこへ行きたくなるのが人間のサガ・・・「あの場所には絶対に何かある!」そう思って自然とそこに向かうはずです。

つまり自然と、次なる目標・目的が設定されるわけですね。

一般的なゲームの場合、街の人間やストーリー上の都合で強制的に目的地を設定(ナビゲーション)されることが多いですが、この「ゼルダの伝説BotW」はプレイヤーが自分で目的地を設定するようにできています。(もちろんナビゲーションもありますが・・・)

この「プレイヤーが自分の意思で目的地を設定する」という部分が超大事な部分です。これによってゲームが格段に面白さを増しているといっても過言ではありません。

それはなぜか。

考えてもみてください。『上司から任された、そんなにやる気の出ない仕事』と『自分からやりたいと思って始めた仕事』どちらに魅力を感じるでしょうか。答えは明白ですよね。(選択肢がちょっとズルい・・・)

何が言いたかったかというと、ゼルダの伝説BotWは『自分で世界をコントロール出来ている感覚』を味わうことができるゲームであるということです。

地図を手に入れる(シーカータワーの場合)

地図を手に入れる

で、ゲームシステム的な目的としては『地図を手に入れる』というものがあります。シーカータワーはゲーム内に複数存在し、頂上には地図をインストールできる端末が設置されています。それを起動することでマップを入手することができます。

ただ、ここでひとつポイントがありまして、入手できる地図は『マップ全体の一部分』ということです。つまりひとつのシーカータワーに登っても広大なマップの一部分しか入手できません。一見不親切に思えるこのシステム。しかしこの部分もゲームの面白さを格段に引き上げている要素です。

どういうことか。

ゼルダの伝説BotWで地図はめちゃくちゃ重要な役割を持っています。「地形」「目的地への道のり」「訪れたことのない場所」などを把握するために地図は欠かせません。なのでプレイヤーは必然的に地図を埋めたくなります。そうするとプレイヤーは自ずとシーカータワーを目指すわけですね。

プレイヤーの思考と行動的にはこうなります。
地図が欲しい → シーカータワーを探す → 世界を探索 → シーカータワー発見 → 頂上へ → 地図を入手 → 頂上から次の目的地を設定 → ・・・

つまりゲーム内でのプレイヤーの目的・目標が延々と続いていくんですね。もちろんシーカータワーを探しているうちに目的が違う場所に移ることもあります。こうしてプレイヤーはゼルダの伝説BotWの世界から抜け出せなくなるわけです・・・



以上、ここまでは『なぜ高所に登らせるのか?』という話でした。

フィールド移動を苦にさせないご褒美の数々

ハート形の池

ゼルダの伝説BotWの世界はあまりにも広大なため、目的の場所まで移動するのも一苦労です。しかし、そんな移動を苦にさせないための『ご褒美』が数多く存在するので、プレイヤーはフィールド移動を楽しむことができます。

だからここではフィールドに存在する『ご褒美』を列挙していきます。

シーカータワー

シーカータワー

先ほど何度も出てきたシーカータワー。周辺の地図を入手できるということと、高所から次の目的地を設定することができる。頂上に登ることで、地上では分からなかった怪しい場所も見つけられる。だからプレイヤーはシーカータワーに引き寄せられやすい。

祠

色々な謎解き(パズルゲームのような物)にチャレンジすることができる場所。クリアすることで、主人公リンクの能力を強化するためのアイテムが手に入る。世界各地に点在し120以上の祠がある。視認性がいいので、フィールド探索中、遠くから発見することができる。この祠もプレイヤーを引き寄せる力(求心力)が強い。

コログ

コログ

山の頂上や怪しい場所、石の下などに隠れているキャラクター。みつけると『コログの実』というアイテムがもらえる。これはアイテムポーチの容量を拡張するために必要になるアイテム。結構重要。ゲーム内に900体ぐらい存在するので、大抵の怪しい場所に隠れている。プレイヤーが苦労してたどり着く場所にコログがいるので、無駄足を踏まないような設計になっている。むしろ探索欲が向上する。

宝箱

宝箱

地面に埋まっていたり、川や湖の底、敵の密集地などに宝箱が設置されている。これによって退屈になりやすい水中での移動が、お宝探索に変わり、苦にならない。それと敵を倒すための動機付けにもなっている。宝箱の周囲に配置されている敵は、大抵組織的に固まっているのでプレイヤーは戦略を練って敵を一掃する必要がある。プレイヤー自身に考えさせる場を提供しているのも、宝箱のすごいところ。(祠の中でも、簡単にはたどり着けない場所に宝箱がある)

そこら中にあるアイテム

そこら中にあるアイテム

フィールドにはそこら中にアイテムが転がっている。『食材』『花や草』『鉱石』『武器や盾』など、常に画面内に1個以上は存在する密度感で配置されている。アイテムに引き寄せられて道を外れるなんてことはしばしば起こる。

アイテムを組み合わせて料理する

料理

集めたアイテムを使って料理をすることが可能。料理では『体力回復』『ステータスアップの追加効果』などの効果をもつアイテムを調合できる。さらにアイテムの組み合わせによって、出来上がる料理も様々。

敵の根城

敵の根城

フィールドを探索していると10分に一度は敵の根城に遭遇する。ここには大抵、宝箱やいい武器を持った敵がいるので陥落させたくなる。どうやって攻め落とすかを考えていると本来の目的を忘れ、いい意味で熱中してしまう。

巨大な敵

巨大な敵

探索中巨大な敵と遭遇することがある。倒すと結構いい武器やレアな素材が手に入るので必死に戦う。80体以上フィールドに配置されているので、意外と遭遇しやすい。

自然と生きる動物達

自然と生きる動物たち

フィールドにはモンスターだけではなく、自然界の生き物も存在する。『馬』『イノシシ』『鳥』『魚』『カエル』『トカゲ』などなど種類も多種多様。時には見たこともないような生き物と出くわすことも・・・

歴史がわかるオブジェクト配置

歴史がわかるオブジェクト配置

ゼルダの伝説BotWの世界には、1万年以上もの歴史が存在する。なのでフィールドには『100年前に起きた大厄災の爪痕』『いつ造られたのかわからない建造物』が配置されている。開発者は「すべてのオブジェクト(物)には配置した理由がある」と明言しているので、オブジェクトから歴史を考察する楽しみ方もできる。


以上が『フィールド移動を苦にさせないご褒美の数々』です。

これらの要素があらゆるところに散りばめられているのでプレイヤーは飽きることなくフィールドを移動することができるという仕掛けです。

GTAやファークライ等の一般的な『オープンワールド』ゲームの場合、車や飛行機を使って縦横無尽に世界を駆け巡ることが多いのですが、ゼルダの伝説BotWの『オープンエアー』は歩いて世界を遊びつくすという主旨で造られているように感じます。

「始まりの台地」にはすべてが詰まっている

始まりの台地

ゼルダの伝説BotWは『始まりの台地』というところからゲームがスタートします。始まりの台地から出るには『パラセール』という空中を滑空できるアイテムが必要になります。そのパラセールを入手するためには、始まりの台地を探索しつくす必要があるんです。いわばゲームのチュートリアル的な要素ですね。

実はこの『始まりの台地』はめちゃくちゃ重要な役割を果たしているんです。なぜなら『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』のすべての要素がつまっているから。

一言であらわすと『始まりの台地は広大な世界の縮小版』ということです。何が言いたいかというと、ここまで説明してきた要素『なぜ高所に登らせるのか?』『フィールドに存在するご褒美の数々』のすべてがこの『始まりの台地』に詰まっているということです。

プレイ経験のある方は薄々感じていたのではないでしょうか。

つまり始まりの台地には

・シーカータワー
・祠
・コログ
・宝箱
・アイテム
・料理
・敵の根城
・巨大な敵
・動物
・歴史がわかるオブジェクト

このすべてが含まれています。

プレイヤーは、始まりの台地でゼルダの伝説BotWの面白さをすべて味わったうえで世界を自由に探索できるようになるのです。
言い換えると、開発者が用意した面白い要素を無意識のうちに刷り込まれ、遊びが詰まった広大な世界に解き放たれる。といった感じでしょうか。

『始まりの台地』での経験のおかげで、広大なマップ(世界)に放り込まれても、目的を自分で設定して遊ぶことができるようになるわけです。

この辺りのゲーム設計は、ゲーム制作を行う上でもめちゃくちゃ参考になるので、ゲームクリエイターを目指す人は自分なりに分析してみると面白いと思います。

広大なフィールドを作り上げた開発手法

広大なマップ
画像出典:ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド攻略wiki

ここからは少々小難しい『ゲーム制作の技法』の話です。開発者がどういった『考え』や『手法』を用いてゼルダの伝説BotWのフィールドを作成したのかを語っていきます。

とその前に

ここからの話を理解し易くするため、ここでゲーム開発に共通する考え方を1つ取り上げます。それは、どんなゲーム開発においても『プレイヤーを退屈させない』という考え方が根底にあります。

だからこれから紹介する技法や概念も『プレイヤーを退屈させない』という考え方の上に成り立っていると考えてください。よろしくお願いします。

フィールド三角形の法則

双子山の存在感

ゼルダの伝説BotWの開発者は、フィールドを構築する際に『フィールド三角形の法則』という手法を編み出しました。この手法は「これからのゲーム開発においてスタンダードな物になる」とゲーム業界内を驚かせたものでもあります。

では『フィールド三角形の法則』とはいったいどんな手法なのでしょうか。簡単に言ってしまうと「フィールド(地形)設計」の為の概念です。具体的に言うと、例えば・・・

三角形の法則
越える

プレイヤーの目の前に、巨大な山があります。そして、その山を越える or 迂回中に、新たな目的地が目の前に現れる。といった感じ。


つまり、三角形(山)の後ろにオブジェクト(物)を隠すように配置し、プレイヤーの期待感・ワクワク感を高めるという考え方です。


フィールドを作る際に、勘や雰囲気でオブジェクトを設置することは簡単です。しかしそれがプレイヤーにとって楽しいかどうかは全く別の話になります。そこで登場するのが『フィールド三角形の法則』です。この法則を使えば、プレイヤーを自然とワクワクさせ、楽しませるオブジェクトの配置が再現できます。

ゼルダの伝説BotWは『フィールド三角形の法則』に従って造られています。だからプレイヤーが飽きず、自発的にフィールド探索を行うことができるわけですね。

このほかにも四角い遮蔽物でプレイヤーの視界を遮っておいて、それを越えたら視界が一気に開け、開放感を演出するなどといった技法もあるようです。

いやはや、恐るべし任天堂・・・

おまけ:フィールド開発の手法を妄想する

ここでは『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』の開発者インタビューの発言を元に、どのようにフィールドが開発・管理されたかを妄想していきます。

この項では『密度』とか『密度感』という言葉がよく出てきます。意味としては『遊び(楽しさ)の濃度』ということです。面積や体積ではありませんのでご注意ください。

オブジェクトの重みづけ

オブジェクトの重みづけ

恐らく、というかほぼ100%オブジェクトに重みをつけて管理していたはずです。

オブジェクトの重みづけというのは、オブジェクトが持つ影響力を数値化するということです。例えば・・・

オブジェクト重み
シーカータワー10
5
宝箱2
コログ1

といった具合に配置するオブジェクトすべてに重み(数値)を割り振っていきます。

※本来これらの重み(数値)は管理しやすいように工夫します。今回は説明を簡略化するためにわかりやすい値で設定しました。

そしてオブジェクトの重みが決定されたら、オブジェクトがフィールドに配置されていきます。もし、オブジェクトに重みをつけなかった場合、フィールドに配置されている数や密度感を把握することが困難になります。というか不可能に近いです。開発者全員が目視や感覚で「この辺りはオブジェクトが少ないから宝箱でも配置しとくかぁ」などの行為を行ってしまうと途端にゲームバランスが崩れていくことでしょう。

この辺りの具体的な解説については次の項で説明していきます。

フィールドのオブジェクトを管理

オブジェクト管理

ではここからはどうやってフィールドに設置したオブジェクトを管理していたのか具体的にお話していきます。ちなみにゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのフィールド設計には、何十人もの人が共同で行っていたようです。

このことを踏まえると、まず初めに行ったことは、実際のフィールドよりもかなり小さい『テストマップ』にオブジェクトを配置したはずです。一度小さいテストマップを作ってその中で遊んでみることで、オブジェクトの配置位置、密度感、遊びやすさなどを確認することができます。

この時、京都の街並みや、ポストの数、コンビニの数などを参考にしたらしいです。

そしてある程度納得のいくオブジェクト配置が済んだら、先ほどの重みが役に立ちます。テストマップに配置されたオブジェクトの重みを合計することで『フィールドに対するオブジェクトの密度』が数値化されて出てきます。この数値を基にして実際のフィールドを構築していくというわけです。

フィールドをエリアで区切る

フィールドをエリアで区切る

しかし、実際のフィールドを構築する際にも、工夫はされているはずです。まず思い浮かぶことは『フィールドをエリアごとに区分けする』ということ。広大なフィールドをエリアで区切り、エリアAは『○○さん担当』などといった割り振りをしたはずです。

開発者が好きなエリアから着手していたらハチャメチャなマップが出来上がることは目に見えていますからね。

ヒートマップで密度感を管理

ヒートマップで密度感を管理

そしてヒートマップを利用してオブジェクトの密度感を管理していたことでしょう。上の画像のように、オブジェクトの密度が高いエリアは赤く表示され、逆に低いエリアは青く表示されます。

ヒートマップというのは熱量(密集度や注目度)を表す手法です。熱量が高いところは赤色に近づいていき、低いところは青色に近づくいていくのが一般的なヒートマップの機能です。 身近なところではグーグルマップの交通量の表示で使われています。

こうすることによって、一目見るだけでエリアごとのオブジェクトの密度感や作業の進捗具合がわかるようになります。フィールド全体が赤みがかっていれば、ほぼほぼ完成ということもわかりますしね。

まとめ

退魔の剣マスターソード

以上が現段階で、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのフィールドを、ぼくが分析・考察した内容になります。『フィールド三角形の法則』に関しては任天堂のCEDEC講演のレポートを参考にしています。

こういったことを念頭においてゲームをプレイしてみるのもまた、楽しいかもしれないですね。

これからもゼルダの伝説BotWのフィールド分析は続けていくので、新たな発見するたびに追記していく予定です。よかったら定期的に覗きに来ていただくと嬉しいです。それでは。

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